Blind Willie Johnson : The Complete Blind Willie Johnson ― 2005/05/03
この人を「ブルースマン」と呼ぶには抵抗がある。形式はカントリーブルースと変わらない世界ではあるが、実際に演奏しているのはゴスペルソングである。
しわがれた声を巧みなギターでもり立てる形式は、彼の育ったテキサスの音楽形式とは微妙に違いがあるように聞こえる。むしろ、ミッシッシッピーデルタの音楽が影響しているようだ。多くのソングスターやブルースマンと、こうしたゴスペルシンガーが、アメリカ南部を交差していた状況が見て取れる。
世俗的な説教師であり、街角で歌うことで収入を得ていた時期もある。バプティスト派の牧師でもある。最初の録音は1927年、コロンビアレーベルへのものである。1930年以降録音が無いのは、彼自身の意図によるものだが、演奏そのものは続けていた。1947年没。
DISK1- I Know His Blood Can Make Me Whole
- Jesus Make Up My Dying Bed
- It's Nobody's Fault But Mine
- Mother's Children Have A Hard Time
- Dark Was The Night - Cold Was The Ground
- If I Had My Way I'd Tear The Building Down
- I'm Gonna Run To The City Of Refuge
- Jesus Is Coming Soon
- Lord I Can't Just Keep From Crying
- Keep Your Lamp Trimmed And Burning
- Let Your Light Shine On Me
- God Don't Never Change
- Bye And Bye I'm Goin' To See The King
- Sweeter As The Years Roll By
- You'll Need Somebody On Your Bond
- When The War Was On
- Praise God I'm Satisfied
- Take Your Burden To The Lord And Leave It There
- Take Your Stand
- God Moves On The Water
- Can't Nobody Hide From God
- If It Had Not Been For Jesus
- Go To Me With That Land
- The Rain Don't Fall On Me
- Trouble Will Soon Be Over
- The Soul Of A Man
- Everybody Ought To Treat A Stranger Right
- Church, I'm Fully Saved To-Day
- John The Revelator
- You're Gonna Need Somebody On Your Bond
口語訳古事記 ― 2005/05/20
口語訳古事記というものが文藝春秋社から発刊されたのは2002年の事だ。文藝春秋社の創立八十周年を記念してのものとの事である。
神話世界というのは、物語原形の宝庫であり、語り部による脚色が時代を経て行われた集積でもある。ただ、日本の神話を描いたもう一冊である日本書紀とは、その内容に違いがある。そこに、文字として残されたであろう時期の、政治体制や社会情勢を色濃く反映しているのだ、と読み解くのは深読みのしすぎか。 古事記も日本書紀も欽定神話という色彩が強いのだが、天津神が外来の騎馬民族、国津神がそれ以前に日本列島に住んでいた存在、というような単純な分別が正しいのかどうかは分からない。
因幡の白兎などの逸話は、イソップ童話と同等の寓意が込められており、大国主命が支配する神、支配される側の兎、ワニ鮫などの姿が、実は支配される庶民という構図があるように見える。嘘をつく兎を罰する神、嘘を反省した兎を許す大国主命というこのテーマは、より人間に近い、つまり庶民側に立った国津神である大国主命の姿に救済を求める庶民の願いも含まれているのではないのか。
歴史は勝者が書き換えるのが常であるが、稀にこうした敗者のささやかな抵抗のような逸話も、寓意を含むことで残されるのではないか。こうした寓話の中に、実は庶民生活が垣間見える気がするのだが。
Blind Blake : P-Vine Presents 20: 21 Blues Giants ― 2005/05/27
Blind Blakeはギターの達人である。弾き語り時の素晴らしい切れ味は、やや緩めのヴォーカルと相俟って、独特の世界を切り開く。と同時に洗練された技の素晴らしさというものも伝えてくれる。
残した録音はブルースの古典としても人気であるが、実はBlind Blakeについてはほとんどわかっていない。本名がArthur PhelpsあるいはArthur Blakeだったらしいという事。盲目であった事は確かなようだが、生来のものかどうかはわからない。生年も不明であり1890年代初頭という説が有力だがはっきりしない。生地もFlorida州のJacksonvilleかGeorgia Sea Islandsという説があるがはっきりしない。
1926年のパラマウントレコードの吹き込み「West Coast Blues」がヒットし、1932年まで約80曲の録音をした。活動の範囲は広く、シカゴなどにも何度か行っているようだ。
Blind Blakeの成功は、その後のカントリーブルース・ミュージシャンに多くの機会を与えたと言える。彼が成功した事によって、Blind Lemon JeffersonやCharley Pattonなどの録音が残されているのだ。つまり、ベッシー・スミスやマ・レイニーなどの楽団をバックに歌うタイプのブルース以外にも、弾き語りや少人数の編成によるブルースというものが「商売になる」事を示したのである。
個人的な感想を言えば、Blind Blakeの音楽をカントリーブルースと分類するには無理がある。実に洗練されたプレイであり「Diddie Wa Diddie」や「Too Tight Blues No.2」での演奏などは、その技量がいかに卓越しているかを示すものだ。その後のシティ・ブルースの多くのギタリスト、例えばBig Bill Broonzyなどに大きな影響を与えたと考えられる。「Lonesome Christmas Blues」などはBig Bill BroonzyやTampa Ledなどの音楽形式とほとんど違いは無い。無論、このような分類が便宜上のものであること、単純な時系列では多様なブルースのスタイルは語り尽くせないのは言うまでも無いこと、音楽本来の持つ力や美しさとは無関係であることは当然なのだが。
このアルバムは、いわば日本編集のベスト盤のようなものである。ただ、演奏に目を向けるとベストの選出というのはなかなか難しい。
1933年没。
- Early Morning Blues
- West Coast Blues
- Black Dog Blues
- Bad Feeling Blues
- You Gonna Quite Me Blues
- Sweet Papa Low Down
- Diddie Wa Diddie
- Too Tight Blues No.2
- Police Dog Blues
- Geogia Bound
- Sweet Jivin' Mama
- Lonesome Christmas Blues
- Guitar Chimes
- Blind Arthur's Breakdown
- Rope Stretchin' Blues-Part 2
- Depression's Gone From Me Blues
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