Blind Willie McTell : The Definitive2005/04/13

1898年にジョージア州で産まれた彼の演奏は、精緻である。主として12弦ギターをフィンガーピッキングやスライドで使い、当時の演奏としては群を抜いて洗練されている。それもブルースの辺境とも言うべき、ジョージア州出身のためか。ヴォーカルは素晴らしいとは言えないが、軽く味わいは深い。女性ヴォーカルなどをフューチャーした録音も残っている。

Atlanta Strutなどのノヴェルティータッチの曲も多く、当時極めて人気が高かったのもわかる。ブルースマンというよりも、ソングスターという位置づけに近いものがある。特に、このアルバムのDISK1の最初では、そうした姿が見える部分もある。

根が真面目な人のようで、盲目であるハンデを乗り越えるために、点字なども習得したようだ。

亡くなったのが1959年であり、いわゆるブルースブーム以前で、再発見には間に合わなかった人だと言えるだろう。しかし、それでもなお、多数の録音が残っている事から考えて、当時どれほどの人気者だったかが推測できる。

このアルバムは、基本的にBlind Willie McTell入門、という感じのアルバムで、過不足無く捉えられていると言える。1940年代のシティ・ブルースに極めて近い姿と言える。

DISK 1
  1. Atlanta Strut
  2. Travelin' Blues
  3. Come On Around To My House Mama
  4. Kind Mama
  5. Talking To Myself
  6. Razor Ball
  7. Southern Can Is Mine
  8. Broke Down Engine Blues
  9. Stomp Down Rider
  10. Scarey Days Blues
  11. Rough Alley Blues
  12. Experience Blues
  13. Painful Blues
  14. Low Rider's Blues
  15. Georgia Rag
  16. Low Down Blues
  17. Warm It Up To Me
  18. It's Your Time To Worry
  19. It's A Good Little Thing
  20. You Was Born To Die
  21. Dirty Mistreater
DISK 2
  1. Lord Have Mercy If You Please
  2. Don't You See How This World Made A Change
  3. Savannah Mama
  4. Broke Down Engine
  5. Broke Down Engine No.2
  6. My Baby's Gone
  7. Love Makin' Mama #1
  8. Love Makin' Mama #2
  9. Death Room Blues #1
  10. Death Room Blues #2
  11. Death Cell Blues
  12. Lord Send Me An Angel #1
  13. Lord Send Me An Angel #2
  14. B & O Blues No.2 #1
  15. B & O Blues No.2 #2
  16. Weary Hearted Blues
  17. Bell St. Lightnin'
  18. Southern Can Mama
  19. Runnin' Me Crazy
  20. East St. Louis Blues (Fare You Well)

Blind Willie McTell : Last Session2005/04/28

アメリカでフォークブームからブルースが見直されるようになったのは、1960年代に入ってである。ヨーロッパ経由で巡ってきたブルースブームが、アメリカでも始まり、古い録音が発掘され再評価された。その結果、多くの老ブルースマンを復活させている。再発見の時代である。

Blind Willie McTellは黒人社会では圧倒的な人気を誇るブルースマンであった。カントリーブルースと分類されてはいるが、その洗練されたギターワークと歌声は、1940年代のシティ・ブルースの台頭にも見事に融合し、1956年録音のこのラスト・セッションにも現れている。老境にさしかかっり、懐メロとして昔の名前で出ている風情は、この録音には皆無である。その力故か、これはブルースブーム、再発見ブーム以前の録音である。残念な事にブルースブームが起きる直前、Blind Willie McTellは亡くなっている。

このアルバムではKill It Kidが二つのテイク収録されているが、いずれも油の乗った演奏をギミックたっぷりに聞かせてくれる。

  1. Baby It Must Be Love
  2. The Dyin' Crapshooter's Blues
  3. Don't Forget It
  4. Kill It Kid
  5. That Will Never Happen No More
  6. Goodbye Blues
  7. Salty Dog
  8. Early Life
  9. Beedle Um Bum
  10. A Married Man's A Fool
  11. A To Z Blues
  12. Wabash Cannonball
  13. Pal Of Mine
  14. Kill It Kid
  15. Broke Down Engine Blues