Blind Blake : P-Vine Presents 20: 21 Blues Giants ― 2005/05/27
Blind Blakeはギターの達人である。弾き語り時の素晴らしい切れ味は、やや緩めのヴォーカルと相俟って、独特の世界を切り開く。と同時に洗練された技の素晴らしさというものも伝えてくれる。
残した録音はブルースの古典としても人気であるが、実はBlind Blakeについてはほとんどわかっていない。本名がArthur PhelpsあるいはArthur Blakeだったらしいという事。盲目であった事は確かなようだが、生来のものかどうかはわからない。生年も不明であり1890年代初頭という説が有力だがはっきりしない。生地もFlorida州のJacksonvilleかGeorgia Sea Islandsという説があるがはっきりしない。
1926年のパラマウントレコードの吹き込み「West Coast Blues」がヒットし、1932年まで約80曲の録音をした。活動の範囲は広く、シカゴなどにも何度か行っているようだ。
Blind Blakeの成功は、その後のカントリーブルース・ミュージシャンに多くの機会を与えたと言える。彼が成功した事によって、Blind Lemon JeffersonやCharley Pattonなどの録音が残されているのだ。つまり、ベッシー・スミスやマ・レイニーなどの楽団をバックに歌うタイプのブルース以外にも、弾き語りや少人数の編成によるブルースというものが「商売になる」事を示したのである。
個人的な感想を言えば、Blind Blakeの音楽をカントリーブルースと分類するには無理がある。実に洗練されたプレイであり「Diddie Wa Diddie」や「Too Tight Blues No.2」での演奏などは、その技量がいかに卓越しているかを示すものだ。その後のシティ・ブルースの多くのギタリスト、例えばBig Bill Broonzyなどに大きな影響を与えたと考えられる。「Lonesome Christmas Blues」などはBig Bill BroonzyやTampa Ledなどの音楽形式とほとんど違いは無い。無論、このような分類が便宜上のものであること、単純な時系列では多様なブルースのスタイルは語り尽くせないのは言うまでも無いこと、音楽本来の持つ力や美しさとは無関係であることは当然なのだが。
このアルバムは、いわば日本編集のベスト盤のようなものである。ただ、演奏に目を向けるとベストの選出というのはなかなか難しい。
1933年没。
- Early Morning Blues
- West Coast Blues
- Black Dog Blues
- Bad Feeling Blues
- You Gonna Quite Me Blues
- Sweet Papa Low Down
- Diddie Wa Diddie
- Too Tight Blues No.2
- Police Dog Blues
- Geogia Bound
- Sweet Jivin' Mama
- Lonesome Christmas Blues
- Guitar Chimes
- Blind Arthur's Breakdown
- Rope Stretchin' Blues-Part 2
- Depression's Gone From Me Blues
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