The American Folk Blues Festival 1962-1966 vol.1 ― 2005/09/20
まだロックが幼児期だった時代に、ヨーロッパではロックの親であるブルースが聴かれていた。このDVDはドイツで収録されたものが40年という時代を経て公開されたものである。
ドイツで開かれたフェスティバル本体の録画と、そのフェスティバルで招いたブルースマンのスタジオでの録画(テレビ番組として流したのか)の構成で出来ている。
現在では既に亡くなっているブルースマン、ほとんど伝説とも言えるブルースマンが、このフェスティバルには参加している。
- Call Me When You Need Me / T-Bone Walker
- T-Bone Walkerがギターを弾き、ヴォーカルはShakey Jakeという組み合わせである。1962年の録画でスタジオ収録。
- Hootin' Blues / Sonny Terry & Brownie McGhee
- T-Bone WalkerのMCにより、Sonny TerryとBrownie McGheeの名コンビによる演奏が始まる。これも1962年のスタジオ収録。
- The Blues is Everywhere / Memphis Slim
- Brownie McGheeによるMCから、Memphis Slimの登場である。自身のピアノとヴォーカル、T-Bone Walkerのギター、Willie Dixonのベース、Jump Jacksonのドラムスという構成である。1962年スタジオ収録。
- I Can't Quit You Baby / Otis Rush
- Roosevelt SykesのMCで若きOtis Rushが登場する。代表曲である I Can't Quit You Baby を熱唱する。自身によるヴォーカルとギター、Jack Myersのベース、Fred Belowのドラムスという構成。1966年のライブ収録。グレイト!
- Another Night To Cry / Lonnie Johnson
- Sonny Boy Williamson(Rice Miller)のMCにより登場するのが名ギタリストのLonnie Johnson。なぜか日本のブルースファンには低評価である。ソフトな歌とギターが受けないのか。自身のヴォーカルとギター、Otis Spannのピアノ、Willie Dixonのベース、Bill Stepneyのドラムスという構成。1963年のライブ収録。
- Women Be Wise / Sippie Wallace
- ブルースレディの登場である。後年のブルースレディよりは遙かにベッシー・スミスなどのクラシックブルースに近く、後年のレディ・ソウルなどと違って歌唱方法もメリスマなどはほとんど無い。バックは Little Brother Montgomeryのピアノ、Jack Myersのベース、Fred Belowのドラムスである。1966年のライブ収録。
- Hobo Blues / John Lee Hooker
- ワン・アンド・オンリーであるJohn Lee Hookerの演奏である。1965年のスタジオ収録。
- Five Long Years / Eddie Boyd
- Eddie Boydが登場である。彼自身の最大のヒット曲である。自身のヴォーカルとピアノ、Buddy Guyのギター、Lonesome Jimmy Leeのベース、Fred Belowのドラムスという組み合わせ。1965年のスタジオ収録。
- Shakey's Blues / Walter "Shakey" Horton
- Little Walterと比してBig Walterとも名乗っているブルース・ハーピストWalter "Shakey" Hortonのインストゥルメンタル。自身のブルース・ハープ、Eddie Boydのピアノ、Buddy Guyのギター、Lonesome Jimmy Leeのベース、Fred Belowのドラムス。1965年スタジオ収録。
- Hoodoo Man Blues / Junior Wells
- ブルース・ハーピストが続く。Junior Wellsの代表的なアルバムのタイトル曲。ギターはいつもコンビを組んでいたBuddy Guyではなく、Otis Rush。Jack MyersのベースとFred Belowのドラムス。1966年のライブ収録。
- Mean Stepfather / Big Joe Williams
- 普通のギターに三連のペグ(弦を巻き付ける器具)を取り付けた九弦ギターという独自の改造ギターを使い演奏する大御所ブルースマン。弾き語りであるが流石この時点で既にベテランである。1963年ライブ収録。
- Goin Down To The River / Mississippi Fred McDowell
- 再発見時代に見いだされたブルースマンであるFred McDowellは、その卓越したスライドギターと伸びやかな歌声によって人気だった。1965年スタジオ収録。
- Weak Brain And Narrow Mind / Willie Dixon
- Sunnyland SlimがMC。珍しくWillie Dixonのギター弾き語りである。シカゴのブルースを支えた大立て者である。曲のタイトルは「弱い頭と狭い心」である。なんとまぁ。1963年のスタジオ収録に見える。
- Nine Below Zero / Sonny Boy Williamson
- Memphis SlimのMCで始まる。Sonny Boy Williamson(Rice Miller)自身によるヴォーカルとブルース・ハープ、Otis Spannのピアノ、Matt "Guitar" Murphyによるギター、Willie Dixonのベース、Bill Stepneyによるドラムス。1963年ライブ収録。
- Spann's Blues / Otis Spann
- Victoria SpiveyによるMC。Otis Spann自身によるヴォーカルとピアノ。この時のOtis Spannのヴォーカルは何時になく良い。こうしたアップテンポが合っているのだろう。Mutt "Guitar" Murphyのギター、Willie Dixonのベース、Bill Stepneyのドラムスという組み合わせ。1963年ライブ収録。
- Got My Mojo Working / Muddy Waters
- Otis SpannのMC。いよいよMuddy Watersの登場だが、この著名な一曲は、どうもヴォーカルのキーと合っていないように見える。疲れているのか声にも張りが無い。Muddy自身のヴォーカル、Sonny Boy Williamsonのブルース・ハープ、Otis Spannのピアノ、、Mutt "Guitar" Murphyのギター、Willie Dixonのベース、Bill Stepneyのドラムスという組み合わせ。1963年ライブ収録。
- Bye Bye Blues / Finale/Entire Cast
- 1963年のメンバーによるジャムセッション風のエンディング。Otis Spann、Big Joe Williams、Sonny Boy Wiiliamson、Willie Dixon、Lonnie Johnson、Victoria Spivey、Muddy Waters、Memphis Slim、Matt "Guitar" Murhpy、Bill Stepney。1963年ライブ収録。
- BONUS TRACK - Walking The Floor Over You / Earl Hooker
- BONUS TRACK - Off The Hook / Earl Hooker
- ブルース界の中では名ギタリストとして知られるEarl Hookerがボーナストラックに収録されている。トップメニューからBONUS TRACKを選択しないと見る事が出来ない。Mack Thompsonのベース、Robert St. Julienのドラムスである。1969年ライブ録画。
Clarence Gatemouth Brown : In Concert ― 2005/09/12
クラレンス・ゲイトマウス・ブラウンのライブDVD。この録画は1995年11月9日にドイツのバーデンバーデンで行われたライブの録画。
ブルースもR&Bもカントリー&ウェスタンもケイジャンも、幅広いジャンルを網羅するゲイトマウスならではのライブ。
メンバーは、ゲイトマウスのギターとヴォーカル、ジョー・クラウンのキーボードとオルガン、エリック・テマーのアルトサックス、ハロルド・フロイドのベース、デヴィッド・ピータースのドラムスというメンバーであり、しっかりリハーサルを積んだ良くまとまった手堅い演奏である。一曲目の Bits And Pieces では曲の冒頭にゲイトマウスのギターの音がPAレベルでオフになるという不具合があるが、これもご愛敬。エレキギターなのにカポタストをしているという、ロックファンには馴染みが薄く、ブルースファンにはお馴染みのスタイルが、変幻自在の演奏を聴かせる。
特にブルースに馴染みの無い人でも、 Take The A-Train (A列車で行こう)はもはやスタンダードだが、ここでのギタープレイは当時70歳を過ぎたギタリストとしては傑出した演奏だろう。この陽から次の曲 Long Way Home というスローブルースへの流れはちょいと凄い。Stop Time ではファンクなリズムに合わせてフィドルの演奏を聴かせる。
百点満点ではないライブだが、リラックスした中に音楽を楽しむ姿が見えている。一度は見て欲しいと思うDVDである。
- Bits And Pieces
- There You Are
- Early In The Morning
- Take The A-Train
- Long Way Home
- Honky Tonk
- C Jam Blues
- Stop Time
- Born In Louisiana
- Mojo Workin'
Clalence Gatemouth Brown ― 2005/09/12
2005年9月10日、偉大なブルースマンのひとりである、クラレンス・ゲイトマウス・ブラウンが亡くなった。ハリケーン・カトリーナによりニューオリンズ近郊の自宅が全壊し、避難していたテキサス州オレンジの姪の家での客死である。
すでに2004年夏には肺ガンで余命半年と宣言されていた身ではあるが、2005年春にはニューオリンズ・ジャズ・フェスティバルなどにも顔を出していた。1924年4月18日、ルイジアナ州ヴィントン生まれ。享年81歳。
私が初めて動くゲイトマウスを見たのは、初来日の時だとばかり思っていたが、どうやらそれは間違いのようだ。伝説のR&B番組であるThe Beat!!!!のレギュラーバンドのリーダーだったとの事である。この番組は私がまだ子供の頃のものであるから、実はDr.Johnが出ていた回の記憶はしっかりあるのだが、それ以外はうろ覚えである。その演奏のバックを務めていたのだ。当然見ている筈なのである。しかし記憶が曖昧で実に頼りないのが情けない。
四回来日しているのだが、実は見たのは最初の来日時である。ギブソンのファイアーバードというヘヴィメタル好きな人が持つギターを片手に颯爽と日比谷公会堂のステージに登場したのを鮮明に覚えていて、テンガロンハットをかぶったその姿にも、そのギター演奏の巧みさに驚愕したものだ。勿論フィドルも弾いたのである。実はメインアクトはボビー・ブルー・ブランドであった。
ゲイトマウス本人は「ブルースマン」と呼ばれる事を嫌っていたようだ。確かにブルースという範疇を飛び越えた多彩な音楽性を持つのは間違い無い。しかし、その一方でテキサス州ヒューストンを中心とした地域のブルースで、その演奏が大きな影響を与えたのも間違いない。
最期のアルバムであると思える「Back to Bogalusa」はモダーンな作りで文句なく最近のブルース系のアルバムでは出色のもの。
San Antonio Ballbuster
- May The Bird Of Paradise Fly Up Your Nose
- Cross My Heart
- Don't Start Me Talking
- Gate's Salty Blues
- My Time Is Expensive
- Ninety Nine
- Goin' Down Slow
- Long Way Home
- Tippin In
- For Now So Long
- May The Bird Of Paradise Fly Up Your Nose
Gate's On The Heat
- Gate's On The Heat
- Man And His Environment
- Funky Mama
- Please Mr. Nixon
- St. Louis Blues
- Jelly, Jelly (Jelly)
- The Drifter
- One Mint Julep
- Dollar Got The Blues
- River's Invitation
- Never Ending Love For You
- Louisiana Breakdown
Long Way Home
- Blues Power
- Somebody Else
- Dockside Boogie
- I'll Be There(If You Ever Want Me)
- Here I Go Again
- Deep,Deep Water
- The Blues Walk
- Mean And Evil
- Underhand Boogie
- Don't Think Twice
- Tobacco Road
- Don't Cry Sister
- Long Way Home
Original Peacock Recordings
- Midnight Hour
- Sad Hour
- Ain't That Dandy
- That's Your Daddy Yaddy Yo
- Dirty Work At The Crossroads
- Hurry Back Good News
- Okie Dokie Stomp
- Good Looking Woman
- Gate's Salty Blues
- Just Before Dawn
- Depression Blues
- For Now So Long
Standing My Ground
- Got My Mojo Working
- Born In Louisiana
- Cool Jazz
- I Hate These Doggone Blues
- She Walks Right In
- Leftover Blues
- Louisiana Zydeco
- What Am I Living For
- Never Unpack Your Suitcase
Back to Bogalusa
- Folks Back Home
- It All Comes Back
- Same Old Blues
- Going Back to Louisiana
- Breaux Bridge Rag
- Why Are People Like That
- Grape Jelly
- Bogalusa Boogie Man
- Louisian'
- Dixie Chicken
- Lie No Better
- Slap It
- Dangerous Critter
THE BLUES MASTERS ― 2005/09/01
マディ・ウオーターズの記憶によると1966年1月27日〜28日にかけ、カナダのトロントにあるテレビ局CBC(カナディアン・ブロードキャスティング・コーポレーション)のスタジオで収録されたのがこの映像との事である。ブルース・フェスティバルがアメリカ以外のヨーロッパやカナダで注目を集めていた時代である。 収録されているブルースマンと楽曲は代表的なものである。
- I've Got My Mojo Working / Muddy Waters
ご存知マディ・ウオーターズの代表曲で、ここでの録画は実に気持ちが入っている。特にジェイムズ・コットンのブルースハープの演奏が全体を激しく盛り上げていて、多数残っているマディ・バンドの演奏の中でも「優」なのだ。 - Blues Don't Like Nobody / Otis Spann
マディ・ウオーターズの名ピアニストとして活躍したオーティス・スパンの演奏と歌である。スパンのピアノはきらびやかで派手である。ヴォーカルも上手とは言えない。そのため日本のコアなブルース・ファンからは評価がいま一つであるが、ここでの演奏はなかなかどうしてである。シカゴ・ブルースの仕掛け人であるフィクサーでもあるウィリー・ディクスンがベースを弾いている。 - How Long Has That Train Been Gone / Mayble Hillery
このメンバーの中では紅一点であり、最も知られていないシンガーがこのメイブル・ヒラリーだ。クラシック・ブルース風の歌声である。ギターはブラウニー・マギーが、ベースはウィリー・ディクスンが担当している。 - Cornbread And Peas / Sonny Terry & Brownie McGhee
- Hooray, These Women Is Killin' You / Sonny Terry
- Born And Livin' With The Blues / Brownie McGhee
サニー・テリーとブラウニー・マギーのコンビである。この時期はアメリカではフォークブームで、弾き語りのカントリーブルースマンが持て囃されていた。このコンビはそうしたブームにも乗ったのか。演奏も無理がなくスムースである。ブラウニー・マギーのギターと歌はかなりモダンでありカントリー・ブルースと言うには無理がある。対してサニー・テリーのブルースハープは野趣満点であり、この二人の微妙なモダンで泥臭いスタイルが、当時の欧米のブルースファン/フォークファンに受け入れられたのだろう。 - Tin Pan Alley Blues / Sunnyland Slim
野太い声とシンプルなピアノ演奏でじっくりと聞かせるのがサニーランド・スリム。来日した際には昔日の面影は薄れていたのだが、元気一杯だったのを思い出す。 - T'Aint Nobody's Business If I Do / Otis Spann
オーティス・スパンによるバラードの名曲の演奏である。こうした名曲だと、やはりヴォーカルの弱さが目立ってしまうのが辛い所だ。 - Crazy For My Baby / Willie Dixson
ウィリー・ディクスンの演奏である。ピアノはサニーランド・スリムらしい。演奏はデジタルのなせる技か、このDVDの狂言廻しを勤めているコリン・ジェイムズなどが画像の中に参加している。これが無ければ・・・・。 - Bassology / Willie Dixson & Sunnyland Slim
DVDのタイトルではこの曲はウィリー・ディクスンだけの演奏で、前のCrazy For My Babyがサニーランド・スリムと名前が併記されているが、この曲はインストゥルメンタルでサニーランドとディクスンの名前を併記するならこちらだろう。 - You Can't Lose What You Never Had / Muddy Waters
You Can't・・・・はマディのボトルネックギターとジェイムズ・コットンのブルースハープが鳴り響く。スローなブルースであり、シカゴ・ブルースの王道という演奏だ。 - Bye Bye Baby, Goodbye
全員でのセッション。
Bessie Smith : Bessie Smith ― 2005/08/24

レディ・ブルースは実は苦手だが、楽団のバックに女性ヴォーカルが歌うというタイプのブルースは、苦手な中でも大丈夫だ。
このような楽団をバックに歌うブルースのスタイルはクラシック・ブルースなどと言う名前で分類されているのだが、実は単なるブルースというよりも、むしろビリー・ホリディやダイナ・ワシントンなどにつながるジャズとブルースの狭間の音楽だろう。いや、実はジャズとかブルースなどという分類そのものの意味を問う存在でもあるのだ。
1894年、テネシー州のチャタヌガに生まれ、1920年代を中心として活躍する。1923年にこのアルバムの最初の曲である「Down Hearted Blues」を初レコーディングし、その後名実ともにトップスターとして君臨した。1930年代は恵まれず、ほとんどアル中状態になり、1937年に交通事故で亡くなった。
Disk 1
- Down Hearted Blues
- Baby,Won't You Please Come Home
- T'aint Nobody's Bizness If I Do
- Any Woman's Blues
- Slat Water Blues
- Reckless Blues
- The St.Louis Blues
- Sobbin' Hearted Blues
- You've Been A Good Ole Wagon
- Cake Walkin' Blues
- Caerless Love Blues
- Squeeze Me
- I Want Ev're Bit Of It
- The Gin House Blues
- Baby Doll
- Head Time Blues
- After You've Gone
- Alexander's Ragtime Blues
- Muddy Water
- Trombone Cholly
Disk2
- Send Me To The 'Lectric Chair
- A Good Man Is Hard To Find
- Thinking Blues
- Standin' In The Rain Blues
- Empty Bed Blues
- Poor Man's Blues
- I'm Wild About That Thing
- Kitchen Man
- Nobody Knows You When You're Down And Out
- He's Got Me Goin'
- You Don't Understand
- Don't Cry Baby
- Keep It To Yourself
- On Revival Day
- Moan,You Moaners
- Hustlin' Dan
- Shipwreck Blues
- Need A Little Sugar In My Bowl
- Do Your Duty
- Gimme A Pig Foor
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